倒れたぼくの前で
あなたは泣いていたけれど、
ぼくは幸せだった。
あなたと出会ったことで、
ぼくの一生は変わったんだ。
ぼくはもともと、
ある家族の一員だった。
最初は、明るい環境の中で
楽しい暮らしをしていた。
でも、ぼくが大きくなってからは、
ひとりの時間が多くなった。
だれにも愛されていないような
気持ちだった。
さみしかった。
毎日が楽しくなくなって、つらかった。
そしてあるときから、
ぼくはその家の一員では
なくなってしまった。
ペットショップシュシュでは、岡山県内にて保護犬たちの里親探しをしています。もともと保健所等にいた彼らはここに至るまでに、それぞれつらい過去を経験しているのです。里親になるためには、彼らを飼育できる十分な環境と、全てを受け止め最後まで一緒にいてあげるという覚悟が必要です。
それからはよくわからないまま、
色々な場所で過ごした。
たくさんの人の目にふれるところに
行き着いた。
ずっと不安だった。
このままここで暮らして、
死ぬものだとさえ思っていた。
そんなとき、初めてあなたと出会った。
やがてぼくは、あなたの
家族の一員として迎え入れられた。
里親になるためには、家庭環境などの譲渡条件を満たしている必要があります。また、正式譲渡前にはトライアル(お試し飼い)期間があります。
シュシュの里親探しについての詳細はこちらから
あなたはぼくに尽くしてくれたけど、
ぼくはまた捨てられるのが怖かった。
だから、最初はあなたに
そっけない態度をとることもあった。
あなたを傷つけたり、
不安にさせてしまった
かもしれないのに、
あなたはめげずに
ぼくに寄り添ってくれた。
家に迎えてしばらくの間は、環境の変化により精神的・肉体的ストレスが重なります。 焦らず、少しずつ、彼らを環境に慣れさせることを第一に考えましょう。
気づけば、あなたと過ごす時間が
心地よくなっていた。
つらかった毎日が、
また明るくなっていった。
楽しい散歩に疲れたあとは、
帰ってあなたのひざの上で眠るのが
好きだった。
散歩は運動の目的だけでなく、犬の本能的な欲求を満たせるため、ストレス解消にも繋がります。大きさ、犬種によっての目安はありますが、 基本的には様子をよく見ながら、その子にあった散歩をするようにしてください。
たまには留守番もしたけど、
ぼくがちゃんと待っていたら、
いつもあなたは優しくなでてくれた。
何時間までなら留守番させていいという決まりはありませんが、飼い主に長時間会えないことはまたストレスになってしまいます。 孤独にさせないのが一番ですが、視界に飼い主がいない間不安にならないように、程よい距離をとって慣れさせることも重要です。
具合が悪くてぐったりしているとき、
すぐに病院に連れていってくれた。
あなたは、
とてもぼくを心配してくれた。
少しでも様子がおかしいと感じたら、最寄りの動物病院に相談の上、 速やかに対応してください。 移動の際は彼らの負担にならないよう、細心の注意をはらいましょう。
数年が経って、
あなたと出会ったときには
もう大人だったぼくは、
おじいさんになっていた。
体が重くて、
動きもにぶくなっていた。
それでも変わらず、
あなたのひざの上は、
ぼくの絶好の場所だった。
あなたがもし里親となっても、すでに成犬となっていることが多い彼らと一緒に過ごせる時間は、短いのかもしれません。天寿を全うし、いつ旅立ってしまっても後悔のないように、たっぷりと愛情を注いであげてください。
そして、
あるとき、
ぼくは倒れて起き上がれなくなった。
このときばかりは、
あなたがぼくの上に乗っていた。
覆いかぶさったあなたは、
ぼくの上で泣いていた。
ぼくの名前を、
何度も叫びながら。
だけど、ごめんなさい。
ぼくにはもう、
返事ができなかったんだ。
最初は楽しい暮らしだった。
でも捨てられて、
なにもわからないまま、
ひとりになった。
そして、流れていく時間を
ただ過ごすだけだった。
だけどあのときから、
ぼくは本当に、
たくさんの愛をもらってきた。
何度も、何度も、
毎日、
どんなときだって。
そして今も、あなたに心からの
愛をもらいながら、旅立つことができる。
あなたの涙も、ぼくの名を呼ぶ声も、
ぼくの生きた証。
ぼくの一生は、心から幸せだった。
またあなたに会えたら、
何をしようかな―――
犬を飼うには、ショップで購入するほかにも、「保護犬の里親になる」という手段があります。
しかし、里親として彼ら保護犬を家族に迎え入れるということは、この物語の限りではありません。
彼らは、それぞれが過去に不幸を経験しているため、すでにしっかりとした個性がついていることも多いのです。
ですから、一から家族の色に飼育するのとは、勝手が違う部分も当然あります。
また、譲渡の審査も厳しいものになります。彼らを二度と不幸にさせないためには、どうしても必要なことなのです。
これらを踏まえた上で、彼ら保護犬を家族の一員として迎えるということ、
そしてペットと暮らしていくということの意味について、みなさまに一度考えて頂けると幸いです。
ペットショップchouchou(シュシュ)